「タッチ」のその後はどうなっていると思いますか?

瑞穂「誘拐なんて人聞き悪い!どこからそんなこと出てきたんですか?」
二宮「そうだ、こんなのただのでっち上げだ。」
銀次郎「そうか、そういうことなら証拠を確かめさせてもらおうか。」
銀次郎は録音機能のある小型の機械を取り出し盗聴していた会話の様子を再生した。

二宮「瑞穂さんは上杉監督をお好きですよね?諦めてはいけませんよ!二人の関係を引き裂くにはすばらしい方法があるんですから。」
瑞穂「それはどういうことですか?」
二宮「私が南さんと積極的にデートをして恋人関係のようになってしまえば良い!それからあなたは上杉監督といろいろ口実を作ってデートをして不倫関係に発展させて夫婦関係はこじれてくる。」
瑞穂「で、ですがそれは簡単に出来ることじゃないのでは?」
二宮「もちろんすぐには出来ないでしょう!少しずつ気をひいていくというのは最善でしょう。」
すると銀次郎は再生を止めた。
銀次郎「とまぁこんなやりとりを二人はしていたんだ。」
二宮「バカバカしい!何かの間違いだ。」
瑞穂「だいたいどこでそんな会話をしていたって言うんですか?」
銀次郎「お洒落横丁の曲がり角でお前さん等二人は落ち合っていた!俺はそれを数時間前目撃している。」
達也「俺も目撃している!あんたらの会話はこちらの野球選手が盗聴していたみたいだしな。」
瑞穂「盗聴って、一体どうやって盗聴したと言うのですか?」
銀次郎「瑞穂さん靴の裏を見てみろ。」
彼女は靴の裏を確認するとガムのようなものがついていた。
瑞穂「これは?」
銀次郎「そうさ、盗聴器さ!あんた今朝この店の前に来ていたろ!その時あんたが歩いてくるのを見計らってこいつを踏ませたんだよ。まさかここまでうまくかかるとはな。」
瑞穂「こんなことして許されると思いますかあなた?」
二宮「そうだこんなことは名誉毀損だ!ストーカー行為だ!警察に、あるいはマスコミに訴えてやる。」
銀次郎「おっとそんなことしたら貴様も沼崎野球部監督としての立場は丸つぶれになるぜ!監督が不祥事起こしたなんてことは避けたいだろ?」
あれから結局明青学園へ戻れず銀次郎と共に南風に戻ってきてしまった達也!だがそれはある作戦があってのこと!それは二宮と瑞穂が南風にやってきて和也か真美のどちらかを連れ去ろうとしていたためタイミングを見計らって誘拐を阻止しようと図っていた。そんな時南が和也と真美を保育園から自宅へ帰って来たときであった。南風の前で瑞穂と…
瑞穂「あっ、上杉監督!今ちょっとよろしいですか?ご家族の取材のほど。」
達也「ああ、どうぞ店の中で。」
達也は瑞穂を南風の中へ迷わず入れた!その様子を銀次郎は少し遠くで見ていた。
瑞穂「どうもこんにちは本日は上杉監督のご家族の取材をしたく思いこちらへ参りました!奥様の南様も取材をお願い申し上げます。」
南「すいませんけど瑞穂さん、私達家族を取材とはどういう風の吹き回しでしょうか?」
瑞穂「あっいえ、これには特別深い意味はございません!私は明青学園にたいそう興味があって上杉監督の日常なども記事として書きたいと思ってお尋ねさせていただきました。」
そんな時、二宮が南風に入ってきた。
二宮「あれ、これは一体?」
瑞穂「あら二宮監督!じつは今取材をさせていただきたくて私はこちらへお邪魔させていただいてたんですよ。」
二宮「それはそれは、御光栄なことですね上杉監督。」
達也「ええまぁ、それより二宮監督は今日はなぜこちらへ?」
二宮「それは明日試合を行うにあたってちょっとした挨拶に参りました。明日はどうぞよろしくお願いします上杉監督!良い試合をしましょう。」
銀次郎「とんちの利かない言い訳だな二宮。」
すかさず銀次郎が南風に入ってきた。
二宮「ぬっ、お前は与安銀次郎。」
南「またあなたですか?うちに何の用ですか?」
銀次郎「南さん、あんたはこいつらが何を企んでるとも知らずに取材を了承してしまったなんてなぁ。」
二宮「おい与安、何ふざけたこと言ってんだ?プロがそんなでは廃ることはあんた自身が一番わかってるはずだ。」
銀次郎「そうさ、バカなことは何もかも廃るさ!だが時々バカをやりたくなるんだ俺は。お前さん等の不正を暴くためにな。」
二宮「フン、相変わらず不愉快な男だお前は、昔から曲者ぶりはプロになっても健在だなぁ!少しプロの世界で活躍してるからってふざけたことしてもらっちゃ困りますね与安銀次郎さん。」
銀次郎「残念だな二宮監督!それから君島瑞穂記者!あんたらの計画は失敗に終わる。」
南「あの、さっきからなんなんですか?不正だとか計画がどうしたとか私にはさっぱりわかりません。」
銀次郎「俺から説明しよう、この二人は上杉監督の家族の取材という口実を作り和也君か真美ちゃんのどちらかを連れ去り誘拐を装う計画だった。」
南「えっ、そんな?」
二宮「南さん、こんなのデタラメだ!私はそんな恐ろしいこと出来るわけがない。」
銀次郎「その時彼女はなんて言った?」
達也「別に何も言ってなかったけど!ただ今度俺の家族も取材させてくれたらなんて言ってたけど。」
銀次郎「間違いない!それはおそらく奴らのクーデターだ。」
達也「クーデター?何だよそれ?俺の家族をどうかしようってのかよ?」
銀次郎「そうだ、信じられないなら会話の様子を聞くがいい。」
銀次郎は何やら録音機能のある小型の機械をさしだした!そしてスイッチを入れた。
二宮と瑞穂の会話が聞こえてきた
二宮「よろしいですか?あなたは上杉監督の家族を取材して心をつかみ双子の子供のどちらかを連れ去り誘拐を装う!そして上杉監督が助けに来たときあなたが無事保護されましたと言って連れ去った子供を引き渡すといった方法でいかがでしょう?」
瑞穂「ええ、それであなたはどうなさるのですか?」
二宮「私は妻の南さんと接触し彼女の気持ちをなだめて子供の無事を伝えてそのままデートへ誘い出すといった算段であります。」
何とも恐ろしいと思える計画を立てている二人の会話を聞いた達也は…
達也「なんだと、一体あいつら何の話をしているんだ?」
銀次郎「これで少しは俺のこと信じてもらえたかな?」
達也「ああ、でもまだわかんねー部分がある!この会話どこで録音したんだよ?」
銀次郎「盗聴器さ!俺は南風のすぐそばにいた君島瑞穂の靴の裏に盗聴器を仕込んだんだ。そしたら驚いた!まさか彼女と二宮がお互いの協力者だったなんてな。」
達也「つまりこういうことか?和也か真美のどちらかをさらってあたかも自分が助け出したように偽装してそしてデートへ誘い出して不倫をしたように見せかける算段ってわけかあいつら?」
銀次郎「そういうことだ!俺が予想していたことが見事に当たったわけだ。君島瑞穂は以前からお前さんを好きで南さんとの関係を引き裂こうとしていたようだな!だがあの二宮がグルであったのは予想外だった。あいつは南さんに恋いこがれているのはお前さん知らないか?」
達也「そいつは知らなかった!ただ南も二宮と何度か会っていたらしいな。それさえ知らなかったぜ。」
銀次郎「まぁ彼女があいつに会ったのはほんの偶然だろう!少なくとも南さんから進んで会いに行った形跡はないようだ会話の内容からして。」
真美誘拐の報告を受け達也は孝太郎に真美が熱を出して大変だと一声かけて銀次郎の車に乗り込んだ。
銀次郎「さぁ早く乗るんだ。」
一体車でどこへ向かうのやら全くわからずにいた達也!するととある曲がり角の場所で銀次郎は車を止めた。
達也「おい何だよ?こんなとこで止めてどうするんだよ?」
銀次郎「あれを見ろ!」
達也「えっ?」
突然指をさした方向を見ると二宮と瑞穂が落ち合って何やら会話をしていた。
達也「なんだ瑞穂さんと二宮監督じゃねぇか!何やってんだあいつら?ってそんなことより真美はどこだよ?あいつらなんかどうだっていいんだ!真美は無事なのかよ?」
銀次郎「彼女なら無事さ。なんていったって誘拐なんざ真っ赤な嘘だからな。」
達也「はぁ、あんた何考えてんだよ!なんだって真美が誘拐されたなんて言ったんだよ?この野郎許さねぇ。」
達也は銀次郎の胸ぐらをつかみ興奮して怒鳴りつけた。
銀次郎「そうでも言わなきゃあんたは俺についてこないと思ったんでね。」
達也「ふざけるなバカバカしい!人の娘を物みたいに扱いやがって。冗談じゃねえ!今すぐ明青までひきかえせ。」
銀次郎「そいつは出来ない!お前さんをここに連れてきたのはあいつらを見せるためだ!お前さんあいつらを見て何か違和感感じないか?」
達也「別に何も思わねぇよ!あいつらはあいつらだろうが。一体なんだってんだよ?わけわかんねーことばかりしやがって。」
銀次郎「ここからが重大なんだ!あの二人を見てなんとも思わないとなると危ないな!よく聞け上杉、あんたら家族はあいつらに家庭を壊されるかもしれないんだぞ。」
達也「もうやめてくれわけわかんねーことは!俺の家庭が壊されるってどっから出てきたんだよ?あいつらが何か企んでるとでも言うのかよ?」
銀次郎「そういうことだ!お前さん今朝店の前で君島瑞穂に会っただろ?」
達也「ああ会ったよ、それがどうしたってんだよ?」
銀次郎「その時彼女はなんて言ってた?」
何かと謎めいてきた達也の方!その頃南の方にも意味深なことが起きようとしていた。
南は二人の子供を保育園へ預けた帰り道に明青学園へ寄り道した。
南「あれ?孝太郎君たっちゃんは?」
孝太郎「南ちゃん?真美ちゃんが熱を出して大変じゃなかったの?」
南「えっ?どういうこと?真美なら元気よ!今保育園に届けてきたばかりよ。」
孝太郎「えっ?ジュニアも?」
南「うん。」
孝太郎「おかしいなぁ?さっき達也は真美ちゃんが熱を出して大変だからって少しここを離れるって出てったよ。」
南「どういうこと?一体何がどうなってんのよ?」
孝太郎「そういえば達也に来客が来たんだった。」
南「来客?それって誰?」
孝太郎「あっそうそう多分そいつだと思う!ちらっと見えたんだけど松田優作のような格好した男が達也と話してたよ。」
南「それってまさか…あのプロ野球選手ね!一体何考えてんのあいつ?」
孝太郎から話を聞いて腹を立ててその場から離れてしまう南!果たしてどこへ向かうのか?
明日から昨年の覇者沼崎高校との対戦により選手達も燃えていた!そんな中達也は監督として作戦と指導を熱心に行っていた。
達也「みんな集合。」
部員皆を集めて作戦を言い渡した
達也「明日は沼崎との対戦ではあるが俺が集めたデータでは一番ショート石下、二番セカンド槍倉の二遊間は鉄壁でなかなか破れない。沼崎の守備は破格に堅い!そして一二番を出塁させたら得点力も計り知れない。この一二番をどう抑える藤堂?それから村越?」
村越「どう抑えるかは的確には答えられませんがとにかく三振にとるのがベストだと思います。転がされれば内野安打もありますのでそこは要警戒です。」
藤堂「とにかく全力で抑えます!バットには当てさせません。オール三振だ。」
達也「そうだ、なんたって打線の繋がりはとてつもない!あまりホームランはないものの一度繋がると止まらない恐ろしい打線だ。とにかく打線を爆発させない!堅実な守備をぶち破るためには藤堂、お前のピッチングにかかってる!それから関谷、槙村お前等の足で攻める!そしてチャンスで田辺、頼むぜ。」
槙村「おう、任せろ!沼崎の石下だか槍倉だか知らねぇが全て俺が倒す。」
関谷「あのな、そいつら二人は野手だ!どうやってお前が倒すんだよ?」
このように作戦を言い渡し再び練習再開した時孝太郎がやってきた。
孝太郎「達也、みんな今日は俺もコーチとして手伝うぜ!なんたって明日は強豪と戦うんだもんな。
達也「ああ、じゃあ孝太郎はバッテリーコーチを頼む。」
孝太郎「おう。」
みんな練習に励んでいくなか達也に一人の客がやってきた。
茜「監督、お客様が来てますよ監督に用事だって。」
達也はグラウンドを離れて進んでみると今朝南風に現れた銀次郎がいた。
達也「なんだまたあんたか!何の用だよ俺に?」
銀次郎「こいつはお前さんに非常に重要なことだ!今すぐこの場を離れて俺についてくるんだ。」
達也「何言ってやがんだ?俺は今職務中だぞ!あんたについていってどうしようってんだよ。」
銀次郎「単刀直入に言おう、あんたの家族に魔の手が伸びてきた!あんたの娘の真美ちゃんが誘拐された。」
達也「なんだって?真美が誘拐だと?おいそれで南はどうしてるんだ?」
銀次郎「今は説明している時間はない!あんたは早くあちらにいる松平孝太郎に一声かけて俺とともにくるんだ。あとそれから彼らには誘拐されたなんざ言うなよ!子供が熱を出して大変だとでも言って抜け出してくるんだ。」
達也「わかった。」
南風のガラス越しから達也が一人の女性と落ち合っている姿を確認した和也と真美!
真美「ママ、あそこでパパとお話ししてる人誰?」
南「えっ?どれどれ?」
和也「なんか綺麗な人!誰あの人?」
南「たっちゃん…何であんなところで?何でこんな朝早く瑞穂さんが?」
この様子を見た南はショックを受け戸惑いを隠せなかった。
和也「何で父ちゃんさっき調べものがあるかといってあのお姉さんと話してんだ?」
真美「ねぇママ知らないのあのお姉さん?」
南「和也、真美!部屋に戻りなさい。」
和也「どうしてよ母ちゃん?なんか変だよさっきから。」
南「子供がいちいち余計なこと気にしない!いいから戻りなさい。」
少し感情的になってしまった南!二人の子供はシュンとして部屋に戻って行って。すると瑞穂が達也のもとを立ち去った!それを確認した南は達也のもとに歩み寄る。
達也「どうした南?」
南「どうしたじゃないわよたっちゃん、調べものがあったんじゃなかったの?何でこんなところで瑞穂さんと話してたのよ?」
達也「それはだな外出たら彼女がいたもんだからつい、あーなんて言うかちょうど俺の調べたいことを聞いてたってわけだ。」
南「調べたいことって何?」
達也「だから明日の沼崎のことだよ!あのチームの監督のこともだな。」
南「そうは見えなかったけどな、見たところ取材に来たわけじゃなさそうだしこんな朝早く彼女が来るなんて不思議でならないわ。」
達也「だから、勘違いするなよ!あの人はうちを取材に来てる記者だ!あと希恵の姉さんってだけだよ。」
南「ふーん、やけに仲良さそうだったけど!そろそろ行きなよたっちゃん、練習するんでしょ明日に備えて。」
達也「そうだな。」
こんなギスギスした感じで達也は明青学園へ向かった。
この数ヶ月の間!明青学園を取材に来ていた女性記者の君島瑞穂が達也と親密な関係になっていた。というのも達也はただ取材に来ている記者という間柄、あるいはマネージャーの希恵の姉という関係でしか見ていなかった。ほとんど一方的に瑞穂から必要以上にアプローチを受けていた。そんな関係を南は数回目撃したことがあり内心不愉快に感じていた。そんななか自身も沼崎野球部の監督を勤める二宮康明と数回ティータイムを共にしたり必要以上にアプローチを受けていた。南自身はただ気立ての良い男性にして達也のライバルという関係でしか見ていなかったのだが二宮は南に気があることは明確であった。そんな時、瑞穂と二宮の驚くべき真相を知ることとなる!それはあの白銀の皇帝銀次郎が暴き出す。
あれから南風にて
和也「ねぇ母ちゃん、プロがうちに来るなんて滅多にないことだし明日プロの試合も見ていこうよ。」
南「だからダメだって言ったでしょ!今プロの試合を見ている場合じゃないの。」
真美「えーせっかくプロがうちの店に来てくれたのに!真美達もちゃんと見ていってあげようよ。」
南「和也、真美言うこと聞きなさい!ダメといったらダメ。てことですから銀次郎さん、もう話は以上です。そろそろ引き上げていただけますか。」
銀次郎「ふん、ごちそうさん。」
彼はお金を置いてさりげなく店を出ていった。
和也「あーあ、母ちゃんなんで追い出しちゃうの?プロが来たのにもったいないじゃん?」
真美「そうだよ、シルバーキャノンの打ち方も教わってないよ!ママひどいよ。」
南「しつこいわね二人とも!ああいう人にはああするのが一番よ!だいたいプロで金持ちなんだからうちのような店なんて似合わないわよ。もっと立派な店に行ってれば良いのよ。」
和也「母ちゃんはなんで銀次郎を嫌いなの?」
南「そうね、何て言うか自分でもわからないけど二人にこれだけは言っておくわ!ああいう大人にだけはならないこと、良いわね。」
和也 真美「……」
あまりに南の強引とも言える言動に声を失う二人!気落ちした和也と真美は店を離れようしたその時、店の外に達也と一人の美しい女性が会話をしている光景が目に入った。実は達也は少し前に俺は調べものがあるなどと言って席を外していたのであった。この美しい女性こそが君島瑞穂だ!うら若き女性であり両親のいない彼女は妹の希恵を一家の大黒柱として養っている。いつもだと練習の時のみ取材に来るはずだがこんな朝早くに来るのは不思議なことである!それを見た南は…
銀次郎「あんた顔に似合わず強気だな!それとも旦那のことになると我を忘れて熱くなってしまう主義か?」
南「はぁ、ため息しか出てこない!なんだかさっぱりわからない。プロってみんなこうなんですか?」
銀次郎「さぁな、俺は他の選手とは違ってグレた選手なもんでね。」
そんなとき和也と真美が店に入ってきた。
和也 真美「あー、銀次郎だ。」
真美「皇帝がいる!白銀の皇帝がいる。」
二人の子はプロ野球選手を目の前にして大いに興奮してしまいすかさずバットとボールを持ってきてサインをねだった。
和也「皇帝、サインしてこのバットに。」
真美「真美も欲しい!ねぇ皇帝今日はなんでここにいるの?」
銀次郎は二人の子に対し紳士的にサインと握手をしてあげ少しほほえみ頭をなでてやった。
真美「やったー、真美今日は頭洗わなくていいね。」
南「ダメよちゃんと洗わなきゃ!夏だし汗かくんだし。」
和也「それよりなんでうちへ来ようと思ったの銀次郎?」
銀次郎「君たちの父さんに一度会ってみたかったからだ!こう向かい合うだけでほとばしる熱いオーラを感じた。君たちの父さんはすごい。」
真美「目を見ただけでその人がすごいってわかるの?」
銀次郎「ああ、ボウヤもお嬢ちゃんもこれから大人になるにつれてわかってくると思うね。」
達也「子供に難しいこと教えるなよ白銀の皇帝さん。」
南「白銀の皇帝ってどうしてそんな異名が?」
銀次郎「別に、俺だって好きでそんな異名を持ったわけじゃない。周りがかってにつけただけだ。」
南「ふーん!ほんとますますわからない人ねあなたって?つかみどころがないと言うか?」
銀次郎「そうだボウヤ、お嬢ちゃん、少し外してくれないか?今君たちの両親と大事な対談をしてる最中でね。」
真美「えーまだいいでしょ!シルバーキャノンの打ち方教えて。」
和也「俺もシルバーキャノン打てるようになりたい!どうすれば打てるのさ?」
銀次郎「わかった、それは後で必ず教えてやる!そうだ明日の父さんのチームの試合は見に行くのか二人とも?」
和也 真美「うん。」
銀次郎「ならばこのチケット渡しとく!明日神宮球場で高校野球が終わった後プロの試合がある。当然俺は出場する!よかったら高校野球が終わった後プロの試合も見ていってくれ。」
真美「うん、絶対いくー。」
和也「おう絶対だぜ、ねぇ母ちゃん?いくでしょ?」
南「さぁね、それは見ていくのはやめましょ!それよりお父さん達の試合が大切よ。二人ともしっかり応援しなきゃダメよ!てことですからこのチケットはお返しします。」
真美「あー、ダメ!ねぇママ、見ていこうよ同じ球場なんだし。」
南「真美!わがまま言わない。」
和也「なんか母ちゃん機嫌悪くない?機嫌良くなれば考え直してくれるよね?」
達也「さぁな、俺はどうでも良いけどな!てことならそのチケット俺が預かっておこう。」
達也「人生そのものねぇ。」
銀次郎「そういうことだ。」
達也「俺はいつでも弟の代わりの野球をやってきた!弟の約束を果たした後は大学の時野球を辞めていた。だが俺だけの野球をやりたいがためにアメリカへ渡った!これが俺の野球だと思った矢先に選手生命絶たれちまって今は監督だよ。」
銀次郎「野球は誰かの代わりでやるものじゃない、己のためにやるものじゃないか?そうじゃなければ野球とは呼べないと思うがな。」
達也「なんだと?」
南「そんなことありません!野球は野球でしょ?現にたっちゃんは甲子園で優勝したんだから!かっちゃんの代わりじゃない野球をするためアメリカへ渡ったんですから。あなたに難癖つけられる筋合いはありません。」
銀次郎「俺は難癖をつけたいんじゃない!ただ野球を愛しているのか?そいつを聞きたいんだ。」
達也「野球は好きだぜ!選手としては終わっても監督としては始まったばかりだけどな!後は俺自身どこまでいけるのか今はそんなこと毎日思ってる。」
銀次郎「なるほど、少しは納得出来たな。まぁこんな話は置いといて明日準決勝沼崎高校との試合があるそうだがどう戦うつもりだ?」
達也「どうもこうもねぇよ!甲子園に行くにはどこが来ようが負けねぇ!それだけだよ。」
銀次郎「お前さん監督というより選手としての意気込みだな!まぁお前さんのそれが監督としての流儀だというなら言うことはないが他にあるならその意気込みでは沼崎に勝てない。」
達也「どうしてだよ?」
南「なんでそう思うんですか?ベスト4までたっちゃんの明青学園は勝ってきたんですよ!もちろん今までの相手とは比較出来ない程強い相手だけどうちのチームは底力を秘めてますよ?」
銀次郎「底力を秘めているからこそかなわないんだ!まして今までとは比較にならない相手を迎え撃つとなれば各々の監督の力が今まで以上に必要になってくるんだ。チームそのものに戦力はあってもそいつをうまく使えなければ緒戦宝のもちぐされだ。」
達也「おい、あんた言わせときゃ好き勝手いってくれんじゃねぇか。俺は監督として全くダメだってのかよ?俺の采配じゃ物足りねーのかよ?俺の選手に対する鍛え方はわりーってのかよ?だったらどうすれば勝てんのか教えて欲しいもんだねプロ野球選手さんよ?」
銀次郎「プロが教える教えないで見つかるもんじゃないんだなこれが!それを見つけるのはお前さん自身だよ。」
南「わからないからプロであるあなたに聞いてるんじゃない?さっきから黙って聞いてるけどやたらダメ出ししてくれるじゃない!一体あなたは何を求めてるの?ケチばかりつけて何がしたいのよ?高校野球のことはそもそもプロには関係ないでしょ?」
銀次郎「関係ないと言いたいとこだがこれが大有りでね!なぜなら明青に勝って欲しいからさ。」
南「えっ、だったら教えてよ!私だって勝ちたいんだから。何か良い策でもあるんでしょ?」
銀次郎「それは監督次第だと言ったはずだ!野球は誰かの真似事だとかハナから決まっているマニュアル通りに事を進めればうまくいく訳じゃない!そこで試されるのは己の個性だよ。個性こそが栄光へと導く。」
達也「個性か?そいつはずいぶん難しいこと教えてくれたもんだ!それじゃああんたはその個性が今のあんたを支えているのか?」
銀次郎「ああ、俺は個性を持たない野球なんざクソ食らえだと思ってる!沼崎は俺の母校でありながら個性を大切にせず誰でも皆同じ野球に徹していたがため沼崎野球部を愛せない理由なんだ。野球とは芸術だ!第三者のための芸術なんざありはしない!だから明日は、いや明日からはお前さんは弟の代わりだとか他の誰でもないお前さんの芸術をやるんだな。選手も監督も己の芸術を沼崎に教えてやるんだな。」
達也「あたりめーだよ!そんなもんは言われなくてもわかっていたぜ。」
銀次郎「そうは思えないな!お前さんはお前さん自身の思いを抱きしめて戦わないとダメなんだよ。」
南「気障なこと言ってくれるね、たっちゃんはもう他人の代わりの野球なんてとっくに思ってないわよ!もう監督になった時から上杉達也のものなんだから。プロの分際であれやこれや言われる筋合いはないわよ。」
銀次郎「あんた顔に似合わず強気だな!それとも旦那のことになると我を忘れて熱くなってしまう主義か?」
銀次郎「上杉、お前さん野球とはなんだ?」
達也「野球とはって?うーん、よくわからねぇ。」
銀次郎「ふん、野球とは生き甲斐、あるいは人生そのものだ!そう俺なら答えるがな。」
達也「人生そのものねぇ、俺はそこまで考えて野球をやってたわけじゃねぇからな。」
銀次郎「やはりお前さんはそうなるのか?甲子園に行ったのだって今は亡き弟の身代わりでいったんだからな!それでなぜお前さんは侍になれるのかが不思議だ。」
達也「あのな!さっきからなんなんだよ侍って?訳があんなら教えて欲しいもんだね。」
銀次郎「俺が言う侍とは夢を抱きしめ最後まで手放さなかった男!さらに言うなら己の宿命から逃げずやり抜いた者が侍と呼ぶにふさわしいと俺は思う。」
南「そういうことですか!なんとなくわかる気がします。」
銀次郎「それとは引き換え俺は今まで何度も試練から逃げてきた。宿命からも逃げてきた。何でもすぐ投げ出すことが当然となって言った俺は落武者だ。」
南「そうなんですか?でもあなたは現に大成してるじゃないですか?昨年三冠王を獲得して今一番有名な選手なのにあなたは落武者なんですか?」
銀次郎「俺はとんだ落武者さ、なんせ我慢だ、忍耐だとかそういったことを知らない身でね。ちなみに今に至ってるのは俺は野球しかない人間だからさ。」
達也「野球しかない?」
銀次郎「そうだ!プロ野球選手になる者は皆野球しかない人間さ、それしかないとなればどんな困難であったとしても乗り越えていけるんだ。夢を常に抱きしめていてこそ。」
達也「俺はあいにく夢とかあまり考えたことなかったからよくわかんねぇなぁ。」
南「私も今まで何になりたいとか夢を持ったことなかったからわからない。」
銀次郎「そうか、なら南さんあんたにも聞こう!あんたは新体操をやってたんだよな?」
南「ええそうですけど!それが何か?」
銀次郎「その時夢を抱きしめなかったのか?誇りを持たなかったのか?例えばオリンピックに出場して金メダルを獲得するなどと?」
南「正直言うとそこまでは考えたことなかった!元々私は高校の時新体操部のキャプテンが怪我をしてその代役として大会に出場しただけに過ぎないんですから。それでも新体操が全く嫌いな訳じゃなかった!だからいけるとこまでいこうと思って大学まで続けました。」
銀次郎「ほう、二人とも生半可な誇りでやっていたという訳か。」
南「いいえ、生半可なんかじゃありません!たっちゃんも私もやるからには絶対当たって砕ける思いでやっていました。」
銀次郎「だがその熱意はほんの一時的でしかなかろう!現にその世界から退いてしまっているんだからな。従ってその道があんたらの本命ではなかったってことか?」
達也「じゃああんたはどうなんだよ?」
銀次郎「さっき言わなかったか?俺には野球しかないと、俺は野球以外他には何も出来ぬ。もし明日野球が二度と出来ないとなったら俺は死んだも同然なんだよ。」
南「(あの時のたっちゃんと同じこと言ってる!やっぱり一つの仕事を生き甲斐にしてる人にとってはそうなるのか。)」
達也「へぇー、だからあんたは野球に人生全てをかけてきたって訳か?」
銀次郎「そういうことだ。」
明青学園は準決勝まで進出しここ最近彗星のごとく頭角を現してきた沼崎高校との対戦を明日に控えた朝南風にて
南「いらっしゃいませ。えっ。」
なんとも風変わりでダンディーな格好を装った男が来店した。銀色づくめの衣装を身に纏いハットを被りサングラスをかけた謎ならぬ男の登場に南は声を失った。そんな男にオーダーをとるためお冷を持っていき注文を聞いた
南「ご注文は?」
謎の男「コーヒーを、ホットで。」
南「かしこまりました。」
謎の男「あんた浅倉南だな!いや上杉南。」
南「えっ?なぜ私のことを?」
謎の男「フッ、そいつは言うまでもない!あんたは伝説の侍上杉達也の妻だからな。」
突然何を言い出すのか困惑してしまう南!そんな時、達也が店の中に入ってきた。
南「ちょっとたっちゃん、あの人…」
達也「おっ、あの人がどうかしたのか?」
南「なんだか変なこと言うのよ!南のこと知ってるしたっちゃんのことを侍とか言って意味わからないよ。」
達也「侍?なんだそりゃ?まぁほっとけ。」
謎の男「上杉達也!あんたに会いにきた。」
達也「あー、俺に会いにきただと?一体あんたは何者だ?」
すると謎の男は帽子とサングラスをとった。
南「あっ!」
達也「おっおいあんたは。」
謎の男「これでわかったか?」
南「あなたはプロ野球選手の銀次郎さん。」
達也「今12球団で一番有名な選手で昨年三冠王を獲得!一昨年も三冠王手前までいった横浜マリナーズの銀次郎がなぜここに?」
銀次郎「そうさ俺は与安銀次郎さ!上杉達也、実に凄まじいオーラを持っている。」
達也「あのー、俺にはなんのことかさっぱりわからねぇんすけど?だいたいプロがうちになんのようだ?」
銀次郎「伝説の侍上杉達也に会いにきた!そういったろ?」
達也「だ、だからそれがわからねぇんだよ俺には?」
南「なんか珍しいことね!普通一般人がプロに会いたくて会いにいくものなのに逆にプロが一般人に会いにくるなんて。」
銀次郎「俺は昔からあんたを知っていた!もう10年程前になるかな、甲子園での力投、地区決勝で新田を渾身のストレートで三振を奪ったあの100万ボルトのストレートは今でも鮮明に覚えてる。それからメジャーリーグでもたいそう活躍していたのも俺は心に刻んでいる!つまり俺はあんたと対戦してみたかった男だ。」
達也「あー、対戦してみたいって言っても俺はあんたと違って引退しちまった身だからな!そんで今は明青野球部監督だぜ。」
銀次郎「そうだな、一度でいいから上杉、あんたの100万ボルトのストレートをホームラン打ってみたかったぜ。」
南「そういえば銀次郎さんのホームランはシルバーキャノンとか言われてますよね。」
銀次郎「ああ、別に名前なんざどうでもいい!本当にお前さんと闘えなかったのは残念だ。」
達也「あんたが俺からシルバーキャノンを打ちたいってのはわかったけど今さら何だって俺に会いにきたんだよ?」
銀次郎「理由なんざありはしない!闘うことが出来なかった代わりに会うだけでもいい!だから会っておきたかった。ただそれだけだ。」
達也「ふーんなんだかよくわかんねぇけどまぁこんな店だけどゆっくりしてってくださいよ。」
銀次郎「そうさせてもらおうか。なぁ上杉、お前さんは野球とはなんだと思う?」
達也は和也、真美と共に入浴
達也「しっかり肩までつかれよ。」
和也「うわっ、あつ今日の風呂。」
真美「あつ、やけどしちゃいそう。」
達也「なんだよ、少しぬるくしてやるよ。」
水を入れてぬるくした。
和也「よっしゃこれなら肩までいけるぜ。」
真美「ほんといい湯。」
達也「こらお前らバシャバシャはしゃぐな。」
子供達がバシャバシャはしゃいでいたら線が抜けてしまった。
達也「ほら見ろいわんこっちゃねー。」
真美「あーあお兄ちゃんが足かけちゃうから。」
和也「しょうがねぇだろお前だってはしゃぐからだろ。」
達也「おいおいそれより早く湯を足せ。」
この騒々しい入浴タイムに苛立ちを感じた南は強引に風呂の戸を空けた。
南「ちょっとおとなしく入れないの?これじゃお風呂じゃなくてプールじゃない。」
達也「てことだ、風呂場ではしゃぐな。」
和也 真美「はーい。」
それから入浴が終わりそれぞれの部屋へ戻って
南「ずいぶん騒々しい入浴だったわね。」
達也「たくあいつらは何で活発なんだ?」
南「きっとたっちゃんが久々に帰ってきて嬉しいんだよ!待ちくたびれていたんだよ。」
達也「そんな俺が帰ってきて嬉しいのかあいつら。」
南「そうだ!あの子達毎日ぼやいてたから!まぁぼやかれなくて良かった。」
達也「お前も大変だったな。」
南「そうだぞ、でもああいうとここそあの子達のかわいいとこなんだなこれが。」
達也「へぇー、そういや今まで聞いたことなかったけど保育園ではどうなんだあいつら?」
南「和也はいつも元気がよくて他の園児達を明るくしているってこの前聞いたわよ!真美は天真爛漫で健気で男の子から人気者だって聞いたわよ。」
達也「それじゃあうちにいる時とそのままじゃねぇか。良かった変わってなくて。」
南「それどういう意味よ?」
達也「どうって、子供にだっていろんな子供がいるだろ?親の前ではいい子を装っていても外ではワルガキなんてこともあるだろ?」
南「たっちゃん。」
南は大きな声で達也をどやした。
達也「な、なんだよ急に?」
南「和也も真美もワルガキじゃない!南が懸命に育ててますから!あの子達がワルガキになんかなるものか。」
達也「そ、そう、それなら良いんだ。」
南「まぁたっちゃんに似ちゃったらそうなるかもしれないね。」
達也「バカタレ俺に似たほうがもっといい子になりますよ。」
南「あら末恐ろしいこと、ものぐさで生意気で手がつけられないほどろくでなしになっちゃいそう。」
達也「フン、そんな風にさせるかよ。」
このように夫婦で久々の至福を味わっていた矢先、子供達の部屋からうるさい音が聞こえてきた。
南「んー、二人ともまだ寝てないみたいね。」
南が二人を注意しに行こうとダブルベッドから立ち上がろうとしたところ達也が制止した。
達也「いいよ南、俺があいつらを寝かせてくるよ。」
南「たっちゃん、じゃあお願いね。」
達也は二人の部屋に入るとさらに二人ははしゃぎ出す。
達也「おいお前ら何時だと思ってんだ!もう子供は寝る時間だろ?」
真美「なんだか真美眠れない。」
和也「俺もなんか体がイキイキしちゃって寝れない。」
達也「そういうことなら俺がお前らをこうしてやれば眠れるよな?」
達也は二人を抱き抱えてグルグルと回した!それから野球の話やおとぎ話などを次々に聞かせると和也と真美は眠りについた。この様子を南は見て思った。
南「それにしてもたっちゃん偉いなぁ!あるだけ選手達を指導して疲れて帰ってきてから子供達の面倒も見てるもんなぁ。いつからあんなしっかりした人になったんだろう?昔はものぐさで何でも面倒なことは進んでやらない人だったのに!バカ兄貴なんて言われてた頃がずっと昔のよう。」
このように南は亭主のことをなにかと誇りに思って見つめて感心していたのであった。
およそ一週間ぶりに我が家に帰宅した達也
南「あっパパ帰ってきたぞ。」
真美「ほんとだ!お帰り。」
達也「ただいま。」
和也「遅いぜ父ちゃん。」
南「こら和也!そんな言い方はないでしょ。」
二人の子供に飛びついて抱きつかれる達也
達也「お前ら、俺がいなくて寂しかったのか?」
真美「寂しいよ、でも大丈夫真美いい子にしてたもん。」
達也「そいつは偉い真美。」
和也「俺だっていい子にしてたぜ!母ちゃんの手伝いちゃんとしてたから。」
達也「ほう、お前も偉い。」
南「よく言うわね!二人共手をかけてばかりで。」
和也「んなんじゃねぇって、ちゃんと俺達母ちゃんを助けてやったよな真美?」
真美「うん、真美は雨が突然降ってきたから洗濯物入れてあげたもん!それからお兄ちゃんは買い物袋を持ってあげてたもん。」
達也「それなら母ちゃんも助かったな。」
南「あらそうだったわね。」
真美「じゃあ今日プロレスごっこしようよ。」
南「それはダメ!お父さん疲れてるんだぞ。そんなことより家族みんなでご飯食べたいんじゃなかったの?一緒にお風呂入りたかったんじゃなかったの?」
和也「そうだよね!まずはそれからだよ。」
達也「そうだ!腹減ったな!飯にしようぜ。」
南「そう思って今日いっぱい作っといたから!久々家族が食卓に集うんだから!さぁみんなで食べよう。」
そして上杉家のディナーが始まった。
和也「うめー、俺これ大好きだよ。」
達也「食えるもんはしっかり食っとけよ。」
真美「やっぱりみんなで食べるとおいしい。」
南「でしょ、みんなで楽しく食べるご飯ほどおいしいものはないんだぞ。」
達也「言うようになったな南。」
南「あら前からですけど。」
家族の風景は良いものだ。
それから合宿が大詰めを迎える頃!南は時々新体操部の臨時コーチとして明青学園に足を運んでいてそのついでに亭主の野球部を除くことが日課であった。そんな時野球部を除いて。
達也「おお南どうした?」
南「新体操部の臨時コーチとしてここまできたのよ!そのついでに野球部を見にきたの。」
達也「それが定番だな!それより見ろ、チーム全体出来上がってきたろ。」
南「そうね、最初は何から何までまとまりないチームだったのにいつの間にかこんな明るくなるなんて。」
達也「ここまでするのに苦労したぜ。」
そんな時、キャプテンの村越を始めあらゆる選手達が南に声をかけてきた。
村越「あっこんにちは南さん。」
南「こんにちは、みんな頑張ってるわね!その調子よ。」
明青一同「こんにちは南さん。」
こんなやりとりをそばで見ていたマネージャーの一年の君島希恵がポツリと小言を同じくマネージャーで二年の橋詰茜にこぼす。
希恵「それにしても監督と南さんは相変わらずラブラブですね。」
茜「そうね、でもいいことじゃない!なかむつまじくって感じで!私達だっていつか結婚したらあんな風になりたいなって思ってる。」
希恵「やっぱり、茜先輩も同じこと思ってましたか。」
茜「私とあなたは意気ピッタリね!最近部員のみんなも意気があってきたし今年はうちはいけそうな気がするのよね。」
希恵「私も思います。」
現時点でチーム内は非常にハッスルしているなか達也と南は…
達也「今日は早く切り上げるつもりだ。」
南「ほんとに、それで大丈夫なの?」
達也「ああ、今まで地獄の合宿を乗りきったし休息も練習のうちさ。」
南「よし、久々にたっちゃんが帰ってくるのは南すごくうれしい!和也と真美もきっと喜ぶよ。」
達也「そうだあいつらの顔も久々見たいとこだぜ。」
南「そうそう見せてあげてよ!あの子達首を長くして待ってるから。」
達也「そうか、ずっと寂しくさせて悪かったな。」
南「いいよ仕事なんだから!和也達に伝えておくね。」
達也「ああ。」
夫婦の会話をそばで聞いていたスタメンセンターの関谷蓮が冷やかしてきた。
関谷「ヒューヒュー、監督、どうしてこうも夫婦円満なのかな。」
田辺「全く、羨ましいなぁ!花咲かせまくりでよ。」
槙村「美しい妻には旦那も美しくなければなりませんなぁ監督!なぁハッハッハッハッハ。」
達也「うるせいやい、ヤローばかりで冷やかしやがって!よし、最後の占め地獄のアメリカンノックだ。」
こんな和やかな風景を見た南はたいそう感心した。
南「クスッ、たっちゃん選手達とすごく仲良くやってる!監督と選手の距離があんなに近いっていいなぁ。この調子ならチームも強くなりそうだな!頑張れたっちゃん。」
そして占めに達也はノックの雨を降らせた。
野球部の合宿が始まって達也は一週間以上も我が家に帰ってこれずにいた。
そんな時達也と南は電話で…
南「合宿の方は順調?たっちゃん。」
達也「ここからが地獄の合宿ですよ!問題児共を相手するのは苦労するぜ。」
南「もう、そこをなんとかするのが監督でしょ!監督がそんなじゃ選手がついてこないぞ。」
達也「はいはいそうですね!まぁここが一番の山場だから俺は今日も帰れない。」
南「そっか。」
達也「真美達はどうしてる。」
南「あの子達はいつもぼやいてる!また今日もパパ帰ってこないの?一緒にお風呂入りたい!一緒にご飯食べたいとか毎日聞かされる始末よ。」
達也「はは、あいつら。まぁ悪いんだけどあいつらに謝っといてくれ!合宿が終わったら早く帰ってプロレスごっこでも何でもしてやるってな。」
南「うん言っとく!じゃあ頑張ってねたっちゃん。」
達也「ああ。」
そして二人は静かに電話を切った。南自身も達也が我が家に帰ってこないのを残念に思っていた。
南「今日もまたたっちゃん帰ってこずか。」
南はため息をつきながら物思いに更けていた時我が子が言い寄ってきた。
真美「また今日もパパ帰ってこないの?」
南「うん、そうみたい!残念ね。」
真美「何でいつもこう帰ってこないの?」
和也「ほんとだよ!帰りたくないのかな?」
南「あのね、大人にはね大人の事情があるの!自分の好きな時に帰れるものじゃないの。だからもう少し気長に待ちましょうね。」
和也「はぁ、しゃーねよな。」
真美「しゃーねか。」
南「ちょっと二人とも、みっともない言い方はやめなさい。」
それから合宿が大詰めを迎える頃!
上杉の日常
今日も明青野球部員を指導して夜遅い時間に上杉達也は帰宅した。彼の家は言わずと知れたあの達也和也南が毎日のように使用していた勉強部屋を改装して上杉家となっている。
その玄関くぐれば彼は一家の大黒柱である。
達也「ただいま。」
南「お帰りたっちゃん。」
真美「あっパパ帰ってきた!お帰りなさい。」
和也「今日は早かったじゃん父ちゃん。」
達也「悪りーかよ早くちゃ。」
家族に明るく出迎えられている達也!この双子の子は現在5才の保育園児である。和也は野球が好きであるが父と違うところは投手ではなく野手志願である。そのためあまりキャッチボールは好きではないようだ。一方真美は女の子にしてこちらもまた野球が好きな少女である。たまの休みに父とキャッチボールするのは楽しい時間である。それからこの二人の子はなぜか広間で父と三人でプロレスごっこが快感であった。
和也「父ちゃん、今日久々プロレスごっこしようよ。」
真美「うん、真美もやる。」
南「ちょっと、プロレスごっこはダメって言わなかった。」
達也「南!少しだけやらせてやれ。」
南「じゃあ1日3分まで!それ以上やったらご飯抜き。わかった。」
和也 真美「はーい。」
このように約束して二人の子供は広間でプロレスごっこを楽しんでいたら電話がなり南が出た。南が電話している時!三人はプロレスごっこでうるさいため南が怒った。
南「もう、人が電話している時にうるさーい!プロレスごっこはもうおしまい。」
和也「あーあせっかく面白かったのに。」
真美「面白かったのに!ねぇねぇ最後に占めのポーズをやろうよ。」
南「ダーメ!それ以上やったらご飯抜きだぞ。」
達也「だってよ、ここまでやったらもう十分だろ。」
和也 真美「はーい。」
こんな賑やかな日常を送っています。
選手生命経たれる。
それは試合中の出来事であった!
達也「うっ、くっ!な、なんだ?」
突然肩肘に今までにない激痛が走った。達也はマウンドにひざまづき右腕を抑え動くことが出来なかった。
チームメイト達、監督やコーチが一斉に駆けつける。
上杉!大丈夫か?上杉!上杉!
それから達也は病院へと運ばれた。医師からのお告げは死の宣告のようだった。
医師「こんな残酷なことは聞かせたくありませんがこのまま野球を続けることは不可能ですね。」
達也「そ、そんな!なんとか手術で治せませんか?」
医師「それがとても難しいのです。もし手術したら元のように投げれるようにはならないでしょう!仮にこのまま手術しないで投げ続けることとなると日常生活にも過大な影響が出てきてしまいます。」
あまりにも悲惨なお告げに達也は声一つ出なかった。そして日本で新米の母親となって子育てに没頭する南へと達也のことが伝えられた。
南「たっちゃんが怪我を!わかりました今からアメリカへ向かいます。」
彼の怪我の連絡を受けた南は二人の子供を父俊夫に託した。
南「ごめんねお父さん!私たっちゃんのところへ行ってくるね!和也と真美のことお願いね。」
俊夫「ああ、たっちゃんの怪我大したことなければいいなぁ。」
こうして南は二人の子供を父に預けて大急ぎで渡米した。10時間ほどかけ現地の病院に到着すると正門から50メートルほど離れたベンチに達也は下を向いて座っていた。
南「たっちゃん、なんでこんなとこに?怪我はどうなの?大丈夫なの?」
達也「南…俺は…くっ!くそ。」
南「どうしたのたっちゃん?何があったのか南に教えてよ。」
ずっと下向いて悲しみにくれている達也に対し南は悲しく思えてきた。そして残酷なお告げを耳にしてしまう。
達也「南…俺はもう野球が出来ないそうだ!俺の怪我は治せないそうだ。」
南「そんな!」
残酷な知らせに南は愕然とした。
達也「なんでいつも俺はこうなんだ!南を幸せにすると決めたのに!なんでなんだー。」
大きな声で叫んでしまう達也!そんな彼の姿をそばで見ている南は今までにない悲しみを覚えた。
南「落ち着いてたっちゃん、何もそんなこと今は考えなくても。」
達也「俺は野球しかねぇんだ!やっと和也の知らない野球に出会い生き甲斐を見つけこれから自分の目標に向かってマウンドで投げていきたかったのに!やっと南を幸せに出来ると思ったのに。これじゃあ全て水の泡じゃねぇか。」
このように苦しむ姿はかつて見たことない達也を見てしまった南!彼女はなんて言葉をかけたら良いのかわからない。そんな自分のことも達也のことも二重に苦しむ南。さらに達也の嘆きはとどまらない。
達也「南…俺と結婚したこと後悔してるよな?俺はもう死んだも同然だからな。」
なんとも尋常ではないセリフに南は怒りを露にして達也に痛烈な平手打ちをした。バシッ
南「なんてこと言うのよ!こんなのたっちゃんじゃない。南の知ってるたっちゃんはそんな弱い人だったか?そんな情けなかったか?どんなときでも前向きで周りの人に安心を与えて多大な勇気をくれるのが上杉達也でしょう。さっきから何よ!南を不安にばかりさせて!絶望を与えてるようにしか見えないわよ。」
達也「南…。」
南「ほんとにどうしちゃったのよたっちゃん?たっちゃんがそんなじゃ南はもっと辛いよ。悲しいよ。だからそんな悲観的にならないで。」
大粒の涙が頬を伝う!それを見た達也は…
達也「南、ごめん!ほんとに悪かった。お前に辛い思いさせて!俺はどうかしてたな。」
南「野球が出来なくなろうとたっちゃんはたっちゃんよ!だから何も悲観することないよ。たっちゃんは今までよく頑張ったよ!甲子園の時だって!南の夢ちゃんと叶えてくれたじゃない!かっちゃんの知らない野球に出会えてやっと自分の生き甲斐を見つけて今日まで闘ってきたじゃない!南のためにいつも一生懸命になってくれたじゃない。そんなたっちゃんが南は大好きなんだから!だからもう頑張らなくていいよ。怪我はたっちゃんがこれまで頑張ってきた証じゃない!南は何も悪く思ってないよ。」
達也「そうか、そうだよな!ほんとに俺何考えてたんだろうな?」
南「全くだ!たっちゃんはもうお父さんなんだから!そんな弱気じゃ絶対ダメだよ。南の知ってるたっちゃんはそんな弱い人じゃない。」
達也「ああ、お父さんかぁ!弱気じゃダメだよな。」
南「うん。」
達也「悪かった南!お前に苦労かけたな。」
南「いいよわかってくれれば。」
達也「よし、これで吹っ切れた!後は日本に帰って次の生き甲斐を探せばいいんだ。」
南「そうそう、たっちゃんはそう前向きじゃなくっちゃね。」
こうして落ち着きを取り戻してアメリカに別れを告げ帰国した。
メジャーリーグのペナントレースが白熱していくなか、上杉家に嬉しい知らせが…
達也の元に南から一本の電話が
南「たっちゃん!昨日一安打完封おめでとう。あと少しでノーヒットノーランだったのに残念だったな。」
達也「まぁな!けどまぁ俺は自分の記録よりチームの勝利が最優先だからな。」
南「ホントたっちゃんらしいわね、自分のことより他人のことを思うなんて。」
達也「けど俺自身の記録も全く意識してないと言えば嘘になる!俺自身も名誉なことチーム自身も名誉なこと!二重に愉快だぜ。」
南「あれー、たっちゃんいつから己に欲深くなったんだ?いい気になってうぬぼれてるといつか痛い目にあうぞ。」
達也「んなものは常に隣り合わせだろ!そんなこと恐れてちゃ投げれるもんも投げられねぇよ。」
南「そうだよね。よくわかってるなたっちゃん。」
達也「それより南はどうだよ?カメラマンとして良い写真とれてるか?」
南「うん、南だって頑張ってるよ!日本のプロ野球選手をたくさん撮ったんだから。」
達也「へぇープロ野球選手ねぇ、まぁ俺もプロだけど。」
南「でもねたっちゃん、南はカメラマンを辞めようと思ってるの。」
達也「えー何でだよ?頑張ってたんじゃなかったのかよ?それともカメラマンはきついのか仕事からして?」
南「ううん、そうじゃないの!実は私出来ちゃったの。」
達也「出来ちゃったって?」
南「そう、たっちゃんとの子供が。」
達也「ほ、ホントかぁ?」
南「これでもう私お嫁さんとしてたっちゃんを献身的に支えるだけね。」
達也「そうか、南はそれで良いのか?」
南「もちろん!昔からの夢だったもの。たっちゃんのお嫁さんになることが!なんか一方的に決めちゃってごめんね。」
達也「いいんだよ、南が信じた道なんだから気にするこたぁねぇよ。」
南「ありがとうたっちゃん、さぁ南も出産頑張らないと。」
達也「まだ早いだろ!今はとにかく自分の体を最優先に考えろよ。」
南「そうだね!さぁたっちゃん頑張れ!カッコいいお父さんになるんだぞ。」
達也「ああ、よーし燃えてきた!さらに力が湧いてきたぜ。」
南「うん、上杉達也ファイト!上杉南もファイト。」
それからペナントレースが終了し、レッドソックスは惜しくもプレーオフファーストステージ敗退するも上杉達也の活躍は注目の的であった。それから翌年、ペナントレース真っ最中の時であった。南は自宅で物思いに更けていた時陣痛が襲ってきた。
南「うっ、あっ、あっ!うっ、産まれそう。」
陣痛が容赦なく襲ってくる中南はなんとか自力で南風までたどり着いた。
マスター「み、南!大丈夫か?産まれそうなのか?」
南「うん、お父さん、助けて。」
マスター「待ってろ今助けてやるからな。」
陣痛に苦しむ南!だがマスターの機転は素晴らしかった。達也の両親を呼び三人で近くの産婦人科へと運んだ。そして達也の所属するレッドソックスに連絡した。一報聞いた達也は
達也「なんだって?まだ予定日じゃないはず!俺はどうしたらいいんだ。」
いてもたってもいられない達也!この日は自身が登板の日であった。彼は決断した。
達也「躊躇なんかしてる場合じゃねぇ。」
達也はなんとか頭を下げ急遽登板を回避して南のもとへ向かった。そして産婦人科へと着くと…
マスター「おおたっちゃん、来てくれたか!南はあの中だ。陣痛が止まらないんだ。たっちゃん早く南に立ち会ってくれ。」
達也「わかった。」
なりふり構わず分娩室に入った達也!そこには陣痛に苦しむ南がいた。達也は南の手を握り声をひたすらかけた。
達也「南!頑張れ、後一息だ。」
南「た、たっちゃん、来てくれたのね!うっ、あっ、はぁはぁはぁ。」
助産婦「さあご主人、しっかり手を握ってるんですよ!さぁもう少しですよ頑張って。」
南「ふー、うっ、ふー、ああああ。」
達也「後少しだ南!頑張れ、頑張ってくれー。」
そして…オギャアオギャアオギャア。たくましい泣き声をあげてこの世に生を授かった男女の双子。
助産婦「よく頑張りましたね、元気な男の子と女の子です。」
達也「南!よく頑張ったな。」
南「たっちゃん!今日は登板の日じゃなかった?」
達也「ああ、そうだけど蹴ってきた。南のことがいたたまれなかった!登板どころじゃねぇよ。」
南「ありがとうたっちゃん、南のために飛んできてくれたのね!たっちゃんがついててくれたから南産むことが出来たわ。やっぱりたっちゃんは心強いよ!ほんとにありがとう。」
達也「俺の方こそありがとな、二人の子を産んでくれて。」
これが出産秘話です。
気障なプロポーズからの…
エメラルズで一年間大活躍して再び男を上げた達也は直後メジャーに昇格が決まりレッドソックスに入団!そしてオフ日本に帰国して南と例の河川敷にて
南「たっちゃんまた一つ男を上げたな。」
達也「まだまだこれからだ、俺の夢は虹の彼方だぜ。」
南「ふふ、たっちゃんったらどこまで遠い存在になっちゃうんだろ!南はすごく心細いよ。」
達也「そんなことはない、決して俺だけの力でここまでこれたわけじゃない。俺をいつも支えてくれる戦友達や応援してくれる身近な人達の力あって今の上杉達也でいられるんだ。」
南「そうだよね、たっちゃんには素敵な仲間がたくさんいるものね。」
達也「ああ!なんたって俺の中で大きな存在は南だ。」
南「えっ!」
達也「甲子園の時だってそうだった!南の存在は何より大きかった。南を思うとどんなに辛くてもくじけず頑張れるんだ!南の幸せな顔を見ることでさらにとてつもない力が湧いてくるだ。」
南「たっちゃん!それじゃあいつでも南はたっちゃんと向き合えるよね?」
達也「ああ、いつだって俺達はそうだ!今までもこれからも。」
南「うん!なんだか今南はすごく心強い思いに包まれた感じがする!たっちゃんがそばにいてくれるとなんて心強いんだろう。でもまたシーズンが始まったらたっちゃんは渡米しちゃう!ほんとに心細くなるなぁ。」
達也「心細く思う必要はない。」
南「えっ!どうしてたっちゃん?」
達也「俺は今日ここに南を呼んだのはとても重要な話があったからさ。」
南「それって一体?」
暫しの沈黙が生じて二人は互いに見つめ合い真剣な眼差しで達也が口を開く。
達也「浅倉南!今日から正式に上杉達也と結婚してください。」
達也はポケットから指輪を差し出した。
南「…たっちゃん!南でいいの?たっちゃんのお嫁さんとして浅倉南はふさわしいの?それから南はまだ本当の自分を探している最中なのに。」
達也「いいんだ、結婚してから探してもいいだろ!俺は南以外愛せない!これからどんな人が現れても南だけがこの世界でたった一人の女性だ。」
南「嬉しい、たっちゃん!はい、浅倉南は本日を持って上杉達也の妻となります。従って上杉南になります。」
達也「これからは夫婦としてお互い支えあって生きていこう!俺もまだまだ未熟で南をすぐには幸せに出来ないかも知れないけど絶対いつか南を世界一幸せにしてみせる。」
南「うん、たっちゃん!南を幸せにしてくれなければ一生ぼやくからな。」
達也「最初から美しくなくて良い、少しずつ美しい愛を刻んでいきたい。」
南「南も望むとこだぞ。」
これが上杉達也の気障なプロポーズであった。
それから南はまだカメラマンの仕事は続けていくということでその後はまだ考えようだそうです。
南風に孝太郎現れる
南「いらっしゃいませ、あっ孝太郎君。」
孝太郎「おう達也!お前選手生命絶たれちゃったんだってな。」
達也「ああ、そうだよ。」
孝太郎「ほんと残念だよな、お前ならなんでも出来ただろうにな。」
達也「なんでも出来たらここにはいねーよ。」
南「たっちゃん、もういつもこんな調子よ。」
孝太郎「そんなんじゃ南ちゃんがいつも悲しくなるだろう!元気だせよ。」
達也「俺も一生懸命そのつもりなんだけどなぁ」
孝太郎「まぁ達也、それは置いといてお前に頼みたいことがあるんだよ。」
達也「頼みたいこと?」
孝太郎「そうだよ」
達也「頼みたいことって言ってもなぁ。
和也の知らない野球をやるだなんて大見得張って渡米してメジャーで活躍するも大事なところで選手生命絶たれて挙げ句に南を散々悲しませては泣かせてノコノコ日本に帰ってきた落武者の上杉達也になんの頼みだよ?」
孝太郎「それはなぁお前に監督要請がかかってんだよ!俺たちの母校明青学園野球部の監督だよ。」
達也「はぁ?」 南「監督?」
孝太郎「どうだ達也、やってみないか?お前も知ってるだろ、明青学園はもうすっかり暗黒の時代になっちまった。その明青学園の栄光を復活させて欲しいってお前に委ねられてるんだよ!明青復活は地元住民皆の悲願だ。もちろん俺もその一人だ。」
達也「ふーん、監督かぁ!」
孝太郎「そうだよ、お前ならきっと悲願を叶えてくれると信じてる!だからやってくれないか?」
南「たっちゃん、監督ってなんか良いと思う。かっちゃんだってやったこと一度もないことをやれるってなんだかすごくやりがいありそう。」
孝太郎「でしょ南ちゃん、我が母校を救えるのはお前しかいない!頼む達也、俺たちの青春をもう一度見せてくれ。」
達也「へいへい考えておくよ。」
それから達也と南は自宅に戻り南が達也に問いただす。
南「監督はやる気ないのたっちゃん?」
達也「別にやる気ない訳じゃねぇけど、今まで考えたこともなかったからな。」
南「南はたっちゃんにやって欲しい。って言ってもたっちゃん期待されるの好きじゃないからダメか?」
達也「そんなんじゃねぇよ、俺に監督なんて勤まるかってんだよ!何もかも消えちまった俺に今さら監督なんてなぁ」
南は怒るように言った
南「たっちゃん、選手と監督は別じゃない!選手の上杉達也は終わっても監督上杉達也は健在だろ!今度はたっちゃんがたっちゃんのような選手を育て上げるのは悪い話じゃないだろ。野球しかないなんて情けないこと言って他の仕事も全然探そうとしないでついこの前お腹を痛めて二人の子供を産んだ妻に苦労ばかりかけてお父さんらしくなれないたっちゃんにはぴったりの仕事だと南は思う」
この南の割れんばかりの説得に押された達也は…
達也「わかった、南の言う通りだな。俺やってみる。」
南「その方が良いぞたっちゃん!南はいつでも応援するから頑張れ。」
達也「ああ、見ててくれ!監督かぁ!なんかワクワクしてきたぜ。」
南「おっ、やる気になったな、私たちの母校に栄光復活頼んだぞたっちゃん!じゃなくて上杉監督。」
達也「上杉監督、慣れない呼ばれ方だぜ。」
これが上杉監督誕生の秘話です。
上杉達也、浅倉南(上杉南)人生で一番辛かったのは達也の選手生命が絶たれた時であった。
アメリカで日々野球に励むなか突然の悲劇であった。南は連絡を受け渡米し病院にいる達也と落ち合い彼の口から聞いた言葉は声を失うものであった。俺はもう野球が出来ない!手術をしても肩肘は元のように投げられないそうだ。そして南はかつて見たことない達也の姿を目の当たりにした。俺は野球が出来ないとなったら死んだも同然だ。と泣いてわめく達也!そんな彼に対し南は落ち着いてたっちゃん、死んだも同然だなんてとんでもないぞ。たっちゃんはもうお父さんなんだよと慰めるのに必死であった。
二人の間につい数ヶ月前に産まれたばかりの双子の男女を授かったばかりの悲劇であった。
達也は長いこと落ち込んでいてその姿を見ている南はかつてないほど辛かった。しばらくたって落ち着きを取り戻してアメリカに別れを告げて帰国。生き甲斐を失った達也は南風を夫婦でキリモリしていた時監督要請がかかり達也は立ち直った。もちろん南も立ち直った。それから毎日監督業に励む達也見て南も手助けをするのが嬉しく幸せに思うようになった。
それからしばらくチームの再建が進み家族全体が明るくなった時達也は夢を語った。
俺は監督としても甲子園出場、そして全国制覇すること、さらには自分の教え子をプロ野球選手にする。これが俺の夢だ。とその言葉を聞いた南は嬉しく思い初めて隠していた思いを打ち明けた。たっちゃんは怪我をして良かった!また一緒に日本で暮らせるんだから!それに監督って職業はたっちゃんにはぴったりだから南にとってとても幸せ。と打ち明けた。その言葉に達也は南に安心させることが出来てたいそう嬉しかった。そしてさらに彼は選手達の夢は俺の夢だ。と更なる目標を抱きしめてチーム再建へと進んでいくのであった。
明青学園野球部キャプテン村越守捕手
4番サード田辺昭次、エース藤堂謙介
高校入学まで素人であった槙村永心ライト
槙村永心は初めて練習でヒット打つも一塁に走らず三塁に走ったほどとんちんかんな選手であったが、監督上杉はそんな素人を怪物にまで育て上げた。
上杉監督は選手からの人望も熱く良くまとまったチームへと進化させた。
キャプテンの村越は中学時代たいそう無名な選手であったが彼の素質を見抜いたのは南であった。南は彼がなぜ無名だったのかはチームの戦力に恵まれないためだと思い後は達也の熱血指導で開花するであろうとスカウトした。
達也と南は供に30歳!4歳の男女の子供を抱え水入らず。
監督業の忙しい達也だがたまの休みには大きな家族サービスをしている。
二人の子供も今日はお父さん帰ってくるよね、
一緒にご飯食べれるんだよね?一緒にお風呂入れるんだよね?などと子供たちの嘆きを毎日のように聞かされる南。そんな南は自身ももちろん二人の子供たちの思いを叶えてあげたい一心で時々球場や練習グラウンドに足を運んでは達也に今日は帰ってこれそう?としばしば問いただす毎日を送っている。
そんなある日甲子園まで後一歩まで迫ると達也は今日はなんとしてもあいつらが寝る前に帰るよ!ここのところずっと南にも和也にも真美にも家族らしいことをしてやれなかったからなと言って久々早くに帰宅。
すると子供たちは大喜びでお父さん帰ってきたと飛びついて喜ぶ姿を南はとても幸せに見つめている。そんな毎日を送っている上杉家であった。
達也と南は結婚して子供(男女の双子)和也と真美がいます。
達也はメジャーリーグで活躍するも怪我をしてしまい選手生命が絶たれてしまう。
それから日本へ帰国して仕事がないため南風を手伝っていた時!明青学園暗黒の時代の話を耳にする。そこで栄光野球部復活を託された達也は明青学園野球部監督に就任する。
彼の方針は基礎から鍛え直しスカウトにも熱を上げる。南も供にスカウトを手伝う。
そして強力なスラッガーと超高校級エースを獲得し、栄光復活へ一歩踏み出した。
その後達也と南は結婚。達也はプロの道に進み、更に大リーグへ。南の献身的な支えもあり数年活躍するが、突然引退を宣言し帰国。南の父の喫茶店(南風)を次ぎ家族皆で幸せに暮らす。
達也と南は結婚します。
達也は、野球選手になり忙しい日々を送り
南はそれを支えつつ、2人の間に生まれた子ども(男女の双子)を育てるママになります。
男の子は野球を、女の子は新体操に興味を持ちはじめ、習い始めています。

そんな一家を、達也の両親、南の父は
幸せな気持ちで眺めています。

そんな未来になっていると思います。
たっちゃんとみなみは、いずれ結婚し、男女の双子の子供が生まれる。
男の子は、たっちゃんと同じ野球を始め、甲子園を目指し、
女の子は、みなみと同じ新体操を始める。
「まるで、僕たちみたいだね」と、たっちゃんとみなみが微笑んで終わり。

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